Starlight Ensign

イジェール人の神話の登場人物たち

神は物事を生み出し、終わりを決める事ができる存在である。神の眷属はその能力を分割して持っていることになる。

  • Aranruti アランルーティ:終末と創生の神。終わりを宿命付ける神。終わりから始まりを生み出すことができ、サロネリハーリの破壊から世界を作り、自らの死によって世界の混沌を晴らした。
  • Tita’fei ティターフェイ:原初の女神。Raro ラーロとも呼ばれる。衝動と始まりを司る神であり、転じて愛情と生命を司る神ともされる。生命に寿命をもたらした呪いの主であり、現在は消息不明。
  • Nisiero ニスィエーロ:原初の女神。Akera アケーラとも呼ばれる。条理と継続を司る神であり、転じて理性と秩序を司る神ともされる。感情を感じさせない機械のような神として扱われることが多く、人格神として扱われることはほぼ無い。現在の世界が続いているのはひとえに彼女の業であるが、一方で何も解決せずに延々と時間が浪費されているのも彼女の業である。

3神は特別な存在であるため、まとめてTarzari タルザーリと呼ばれる。

場所

  • Saronerihari サロネリハーリ:原初の卵。これをアランルーティがスティヤハーゼで割って世界を作った。
  • Misava ミサーヴァ:呪いの涙で満ちた川。悪魔が触れるとたちまち生命を奪われ、人も涙の中では長くは生きられない。ミサーヴァの様子については2つの説があり、唯一生命を奪われないのは天使だけであり、彼女たちはミサーヴァを泳ぎ廻っているというものと、アランルーティの似姿である悪魔と、ニスィエーロの似姿である天使のどちらもミサーヴァでは生きられないという説がある。現在主流の説は後者であるが、天使が人魚の姿であることの根拠を考えると、本来は前者であっただろうと推定されている。
  • Harasive ハラスィーヴェ:死の大地。生命が尽きたものが辿り着く場所で、追放された悪魔の住処とされる。人にとっては地獄と言っても良い。ミサーヴァを挟んだ対岸であり、誰も帰ってこないため、その姿は謎に包まれている。
  • Ininive イニニーヴェ:輝きの地。ヴィーベンやデルスを始めとした魔獣が境界を守っている。ニスィエーロの領地であり、命あるものたちが秩序だって暮らしている。人にとっては天国と言っても良い。
  • Niruerte ニルウェルテ:魂の世界。神話の世界のこと。上記すべての世界を指す名称。
  • Deauerte デアウェルテ:囚われの世界。現世のこと。魂が囚われて肉体に閉じ込められた監獄の世界。
  • Rurucamariris ルルツァマリーリス:イニニーヴェとハラスィーヴェの間の橋のこと。天国と地獄の間の領域と見なすことができるが、あくまで通過点という意識が強く、長期間滞在する場所ではない。

道具

  • Stiahaze スティヤハーゼ:アランルーティの剣。ありとあらゆるものを斬ることが出来る両刃の剣。最終的にティターフェイに奪われ、アランルーティ自身が斬られる。その際に折れて柄と刃だけとなる。
  • Stia スティーヤ:スティヤハーゼが折れた後の剣先。ありとあらゆるものを斬ることができるが、柄がないために扱うことができない。神の返り血で赤く輝いているとされる。折れた後に大地に刺さり、その裂け目はミサーヴァとなった。
  • Stiabresk スティヤーブレスク:スティーヤがさらに砕けて破片となったもの。ミサーヴァの底のいたるところに刺さっている。
  • Haze ハーゼ:スティヤハーゼが折れた後の柄。これを持つものはスティーヤを扱うことが出来るため、神の力を扱う権力の象徴である。紆余曲折あったが、現在は神器として皇帝府が所持しているとされる。王権神授の象徴。

神の眷属(天使と悪魔)と魔獣

  • sarinoka サリノーカ:神の眷属のこと。天使と悪魔を合わせた存在のことを指すが、鬼や人や動物は含まない。
  • arsruna アルスルーナ:サリノーカのうち、クロームトン以前に生まれた者のことを指す。天使と悪魔に分離する前の天部であり、三神同様に善悪二面を併せ持った性格を持つ。後の天使と悪魔は善と悪の片方の性質しか持たないため、この点で格上の存在とされる。
  • akeranoka アケラノーカ:天使と呼ばれる神の眷属。不死の人魚で、無毛の天女。我欲を持たない祝福された存在である。創造者であり、始まりを齎す。ミサーヴァを泳ぐことが出来る唯一の存在とされることもあるが、ラルノーカと同様に水に触れれば死すべき存在とされることもある。
  • rarnoka ラルノーカ:悪魔と呼ばれる神の眷属。死を免れ得ない、羽毛に包まれた男魔。欲に塗れた呪われた存在である。破壊者であり、終焉を齎す。常にミサーヴァの上を飛び回っており、アケラノーカを襲おうとするが、ミサーヴァの水に触れると死んでしまう。それでも欲望に勝てず、死を早めてまでアケラノーカを襲う者は多い。
  • ena エーナ:魔獣と呼ばれる怪物のこと。神の眷属ではないがニルウェルテにのみ住むものたちのことである。人や動物よりも力強い。もともとの教義にはなく、民間信仰で広がっていた存在で、現在も公式に教義に取り込まれているわけではない。
  • niresk ニーレスク:魂を持った道具のこと。通常ニルは生物にしか宿らないため、このような道具は存在しない。(イジェール人にとっての)ファンタジーにおいてよく持ち出される俗な概念である。なお、スティヤハーゼは人格を持たないため、ニーレスクではない。
  • Sidora スィドーラ:ミサーヴァを泳ぐ巨大な魚の魔獣。ラーロ(ティターフェイ)の涙があまりに多く、世界が水浸しになるのを防ぐために流れを速める目的で創られた。時折頭で大地を削り、支流を増やす。
  • Neman ネーマン:悪魔に暴行されてティターフェイの呪いを身に受けた天使の成れの果てで、悪魔に分類される。強烈な渦を巻き起こし、周囲の物を引きずり込もうとする。
  • Ders デルス:大男で、各界の境目を守っている番人である魔獣。アランルーティが死んだ時に産まれた。対価を払えば門を通してくれるが、本末転倒な対価を要求する(他の世界を見たいという者には目を要求し、あの世を歌に残したいという者からは声を奪う)。この話には不明確な部分があり、そもそも門とはどこなのかは判然としない。川から陸に上がる経路は本来無数にあるはずであり、門など存在し得ないはずである。
  • Viben ヴィーベン:空飛ぶ魔獣。翼竜と訳されるものの、翼の生えた魚にワニの顔のようなものが想像される。空を自在に泳ぎ、ミサーヴァから陸に上がった生き物を捕食する役務を負っている。
  • Rima リーマ:美と誘惑の悪魔。色欲を終わらせる者。非常に美しい悪魔で、上半身は人間の女性で、翼の手と鳥の脚を持った半人半鳥の悪魔である。夜になると船の近くを飛び回り、美しい声で歌いながら男を魅了する。歌を聴く者は彼女の欲しい物を彼女に差し出したくなる。リーマは一番欲しい物を持ってきた男と生活を共にし、もっと良い品を持った男が現れると前の男を魚に変えて食べてしまう。彼女に誘惑されても、何も与えてはいけない。前の男が何を与えたかはわからないし、リーマの判断基準は人には判断できないからである。
  • Sazina サズィーナ :陸を這う龍。
  • Dorina ドリーナ :川を泳ぐ龍。
  • Eduna エドゥーナ :空を飛ぶ龍。
  • Aksa アークサ:勝利に近い者を勝たせる力を持った悪魔。闘争を終わらせる者。光輝く剣、キガーワグ(Kigaag) を持っていて、この剣に切れないものは無いという。彼の名を呼んだものに決闘を申し込み、戦うことを趣味としている。彼は超常の剣を持っているために、誰がどう見ても常に「勝利に近い者」であるため、負けることがない。しかしある日、カーディのエンゼーニという詐欺師に呼び出され、「お前の剣は偽物だ、私の剣こそが本物のキガーワグだ。」と決闘を申し込まれる。アークサは「それでは私の剣に切れず、貴様の剣に切れるものを見せてみろ。」と返す。詐欺師は「それは鞘だ、貴様の剣はその鞘を切ることはできまい。」と嘯いた。アークサは自らの鞘を叩き割ろうとするが、詐欺師の言うとおり出来なかった。アークサは驚き、剣を捨てて行方を晦ました。それ以降彼が人を襲うことはなくなったという。一説によるとキガーワグは「切断できると思った物を切断できる剣」であり、つまり詐欺師の言葉に耳を貸したのがアークサの間違いだった。

儀式や現象

  • zegzah ゼーグザフ:神々は本来現世とは異なる世界に住んでいるものだが、仮の姿を宿して現世に降臨する事があるとされる。この現象のことをゼーグザフという。皇帝は世界をクロームトン以前に戻す使命を負った現人神であるという考え方に基づき、国教会はゼーグザフを教義の一部として取り入れているが、アランルーティ以外のすべての神々に対してこの現象を認めているわけではない。しかし、一般の人々の間ではあらゆる神聖な存在に対してゼーグザフを認める傾向があり、そのように主張する聖者も居るが、異端である。現象自体もゼーグザフを起こすことができ、デアウェルテでの出来事はニルウェルテでの出来事と対応していると考える者が多い。現象のゼーグザフについては、国教会は積極的に否定はしていない。
  • srarifagis スラリファーギス:鎖紡ぎの儀式。生誕祭のこと。子供が生まれたときに行う儀式のこと。
  • eatamadur エアタマードゥル:涙戻しの儀式。葬式のこと。人が亡くなった際に催される儀式のこと。

魂と身体

概要

身体をどう扱うべきと考えるかは、文化の影響を大きく受ける。例えば、日本においてはタトゥーは忌避され、美容整形も忌避されがちなことから、身体を傷つける行為はたとえ本人が望んだことであっても避けるべきだとされている。しかし、この身体観は人類に普遍的なものではない。ここでは、イジェール人の身体観について述べる。

イジェール人の身体観について

イジェール人にとって、身体は魂と対になる概念である。人間性は魂から湧き出るものであり、肉体とは仮初の存在に過ぎないとされる。従って、身体に対しての侵襲には抵抗感がなく、外科的な処置が倫理的問題をはらむことは無い。美容整形や義肢への抵抗感も薄く、例えばレーシック等の人体加工技術についてイジェール人が悩むのは、単にコストパフォーマンスや術後の経過についてのみであって、倫理的側面ではない。同様にクローン人間についても、肉体の複製であり魂の複製ではないため、何ら問題がないとされる。

中絶手術について

宗教的な禁忌ではないが、倫理的問題はある。魂と身体を繋ぐスラリーファが接続されれば魂の器としての肉体が稼働し始め、生命が宿っていると言えるため、受精卵がどの段階でスラリーファに接続されると考えるかによって許容度に差が出てくる。そもそもスラリーファがヒトにのみ接続されていると考える宗派と無機物などを含めて全てのものに接続されていると考える宗派では解釈が異なり、イジェール人の間でも議論が絶えない話題であるが、スラリーファは脳が存在する生物にのみ宿ると考えるため、脳が形成される前の中絶であれば倫理的には問題がないと考える方が主流である。

脳死について

脳は魂そのものではなく魂の受信器官に過ぎないが、脳が機能停止すればスラリーファの接続は断たれる。従って、脳死をもって現世であるデアウェルテにおける死と捉えられる。

辞書順について

比較する2つの単語について、下記のルールを上から順に適用する。ここで「先頭から比較して」とは、先頭の1文字目同士を比較し、同じであれば次の1文字同士を比較する、という処理を末尾まで繰り返すことを指す。

  1. 文字列全体の語頭と語末の「-」、全ての「(」「)」は削除する。左記2つの処理を行う前の文字列を「元の文字列」、処理後の文字列を「処理した文字列」と呼称する。
  2. 処理した文字列を先頭から比較して、「e」「e’」「a」「a’」「o」「o’」「i」「i’」「u」「u’」「h」「k」「s」「s’」「t」「t’」「c」「n」「n’」「r」「r’」「m」「p」「f」「g」「z」「z’」「d」「d’」「b」「v」「-」「 」の順で、先の文字を有す方を先とする。この時、大文字と小文字は同一視する。
  3. 処理した文字列を先頭から比較して、小文字と大文字であれば、大文字を有す方を先とする。
  4. 元の文字列を比較して、記号が含まれない方を先とする。なお、ここで言う記号に変音記号は含まれない。
  5. 元の文字列に「-」を含む場合、「-」の位置が語末に近い方を先とする。
  6. 元の文字列に「(」「)」を含まない方を先とする。
  7. 元の文字列に「(」「)」を含む場合、「(」の位置が語頭に近い方を先とする。「(」の位置が同じ場合、「)」の位置が語頭に近い方が先。

下記は辞書順に整列されている。

  1. Eta
  2. Eta-
  3. eTa
  4. eta
  5. eta-
  6. et(a)-
  7. -eta
  8. -(e)ta
  9. Et’a
  10. et’a
  11. -et’a
  12. et'(a)-

動詞を中心とした派生語・複合語の実例

イジェール語では、複数の方法で派生語を作ることができる。

動詞からの派生

主要格に関しては格と位置が厳密に定まっているため、一意性が高い。

  • Viarkif acu tirage.|帯が落下を防止する。
  • acdirage|落下防止する
  • viarki acdiragin|落下防止する帯
  • Orkaf fentau nume.|男が酒を飲む。
  • fentanume|飲酒する
  • orka fentanumen|飲酒する男

記述詞の複合

修飾語と被修飾語を倒置して語幹を接続して作る。

  • viarki acdiragin|落下防止する帯
  • acdiragviarki|落下防止帯
  • per dirin|赤い旗
  • dirber|赤旗
  • fenta numin|飲むことができる酒
  • numventa|飲用酒

上記2種の複合

  • Viarkif eiur acu tirage.|帯が高所からの落下を防止する。
  • Viarki acdiragin ein|高所の落下防止の帯
  • Viarki eiacdiragin|高所落下防止の帯
  • eiacdiragviarki|高所落下防止帯
  • Orkaf kovera fentau nume.|男が食事処で酒を飲む。
  • Orka fentanumin koven|食事処で飲酒する男
  • koveventanumorka|食事処飲酒男

従って、一度主要格+動詞を基にした派生語を生成した後は、結局はどの格でも動詞との複合語が形成できる。

人工言語の作り方の参考

作る手順として最も参考になると思ったSERIXのサイトを見つけたので、リンクを張っておく。

http://arxidia.another.jp/lanxante/serix.html

鑑賞行為と創作性

意外とオリジナル作品を作ることにこだわりを持つ人が論評や批評を下に見ていることがあって、作者の意図と分析がずれていることを持ってクソと断じることがあるが、自分はこれには同意できない。なぜなら、批評や論評というものにも、オリジナリティはあると考えているからである。

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帝国における三権分立

帝国は国号に「帝国」を冠しているものの、その実態は立憲君主制の国家である。憲法は国民の主権を規定し、国民によって民主的に皇帝を選択することになっている。皇帝には行政権が委託され、立法権と司法権はそれぞれ議会と裁判所に委託されている。この点で、皇帝は実質的には任期の長い大統領程度の実権を持っているに過ぎない。

国土は複数の星をまとめた「王国」がアメリカにおける州よりは劣るが、日本の県よりは高い程度の独立性を持つ。憲法によって帝国政府に委託された権利以外の権利はすべて王国に付与されており、王国は大きな行政権を持つ。とはいえ、帝国政府は王国に対して補助金の増減などを用いて帝国としての政策をある程度強要することは可能である。
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