Starlight Ensign

過去の言語制作の記録

  • 初版:2022年05月31日
  • 更新:2022年05月31日

イジェール語は現在のバージョンになるまで何度か大きな作り直しを実施している。記録に残る限りで、過去の言語についてまとめる。なお、これは架空世界内の歴史的記録ではなく、現実における制作の変遷である。

現イジェール語への影響まとめ

β2/β3言語(リジナ語)

  • 動詞の末尾が-eで終わる点
  • 人称代名詞(古形として)

γ言語

  • 動詞からの-(e)sk派生

ε言語(旧イジェール語)

  • 音素(ただし母音の強弱は後に脱落)
  • 音節構造
  • アンシェヌマンの義務化

α言語

2008年ごろ

概説

アルカを参考にパラメータを列挙し、日本語を基に作った。接頭辞、接尾辞、基本語、音象徴がある程度整備されていた。

SOV
前置修飾
後置詞使用
格標識使用
時制なし
時間・様態・場所 の順に副詞
疑問詞を移動しない(語尾を上げる)
副詞は動詞の後(助動詞が副詞に吸収されたため)
拘束アクセント
時制なし
相なし
時制と相は全て副詞による

音素

aiueo
kstnhmrgzdbpjvc
音節構造はCVCまで

品詞

動詞
接続詞
助詞
名詞

名詞

性別なし。
数の概念なし。
形容詞によって複数を明示出来る。

α2言語

2008年頃?(不確実)

概説

α言語の発展形。単語等は作り直しているが、日本語をベースとしている点は同様である。

一方で、明確な時期がわからないが、星界シリーズを読んだことでその影響が入り込んでいると思われる。日本語を基に子音を変換して語彙を作ろうとしているあたりに影響が見て取れる。

S(主語)-P(述語)の主述構造が基本。
題目-述部の題術構造もとる。

私は|象が|好きだ。
主題|主語|述語

SOV型
後置修飾
疑問詞を移動しない
副詞は時間、様態、場所の順
合成語は右側決定

文字と音素

母音:5音 aiueo aiueo
子音:14音 rkstnhmjlgzdbp rkstnhmjlgzdbp
記号:1つ y y

yは開拗音化記号であり、単独で音は持たない(アルファベットの読みはioo)
アルファベット名はそれぞれの子音にaaをつけたもの(k→kaa,n→naa)
長音は母音を重ねて表記 oo ii aa ee uu
母音+eの場合はae,ie,ue,ee,oeがそれぞれei,ai,uu,ii,ouの発音に変化する。
lは日本語のラ行の発音、rは巻き舌。語尾のrは発音がl化する。
子音は二連続までを認める。

アクセント

必ず語の最後の母音に強勢が置かれる。

品詞

名詞
動詞
助動詞
後置詞
形容詞
副詞

名詞

外来語は語尾が子音で終わる。
外来語を取り込む際、wは適当な母音に転写するか削除され、あとは綴りに忠実に転写される。
子音が連続しすぎる場合、aが挿入されることが多い(絶対ではない)
最後の母音が長母音化される。

動詞

接続することも可能(歩き続ける、降り止む等)
その場合語尾のeをiに変化させてハイフンで繋ぐ。
ex.meli-lija(降り止む)

能動態と受動態
活用は受動態接尾辞が行う。
このときも動詞は接続形。
ex.meli-roru(振られた)

ムードもモダリティも助動詞で表す。

過去、非過去を動詞の語尾によって表す。

無標では完成相。語尾の追加で継続相を表す。

人称

主語の人称を区別する。

私はあなたのことがずっと好きだった。
kin mi tan zi ouzae jodu noere.

雨に降られた。
ijo siri meli-roru.

あなたを見ている女が私の母です。
tan ka juri-noeri-anhi zi kin ha mimi da.

β言語

2009年頃?(不確実)

概説

α言語で得られた感触を基に、根底から作り直したもの。名詞や動詞の構造を拘束したことで、曲用を駆使すれば形容詞や副詞は不要なのではないかという着想で、品詞を減らしている。

音素

母音:aiueo
子音:hksxtcnrpmfgzjdbv

以上の5母音17子音を用いる。
ただしc:ツァ行の発音

品詞

名詞
動詞
補助動詞

形容詞は存在しない。
日本語で言う形容詞、形容動詞はすべて名詞の生格に吸収されている。

名詞

必ず母音で終わる。
全部で9の格を持つ。格はこれらの格助辞で表される。

主格 -za
生格 -fo
与格 -fas
対格 -ke
奪格 -si
接格 -va
向格 -ma
具格 -be
共格 -ne

人称代名詞

単数      複数

一人称: ga gava
二人称: fa fava
三人称: xa xava

指示語

事物  場所  方向  人称  形容詞 副詞

近称: sib sis sicca sin sif sit
中称: teb tes tecca ten tef tet
遠称: ab as acca an af at
不定称: beb bes becca ben bef bet

近称は話し手の近くを表す。
中称は聞き手の近くを表す。
遠称はどちらからも遠い場合を表す。また、記憶の中など心理的に遠い場合も表す。
不定称は不確定なものを表す。

事物、場所、方向、人称の指示語は名詞なので格変化を起こす。
※【この】は[sib]の生格である[sibfo]で表す。[sif]の訳は【こんな】。

動詞

終止形は語尾が-asで終わる。asを除いた部分を語幹として扱う。
辞書に載るのはasを含めた叙述形である。

ray-at【読む】

叙述形: -at
連用形: -e
過去形: -in
未来形: -ix
継続形: -onef
完了形: -oref
命令形: -*
連体形: -et
意志形: -ar

補助動詞

助動詞ではないのは、これ単体では意味をなさないからである。つまり、動詞抜きには成立しないということである。英語のYes,I can.の様な使い方は出来ない。動詞専用の接辞ともいえる。
主に

否定: -fat
使役: -tat
受身: -vat
可能: -sat

の4つを使用する。これらは動詞とくっつき一つの動詞のようにふるまう。また、連用形を用いることで多重連結が可能。その際の順序は
使役>受身>可能>否定
【させる>させられる>させられうる>させられうらない】

ex)
rayat 【読む】
raye-fat 【読まない】
raye-se-fat 【読めない】
raye-ve-se-fat 【読まさせられない】

β2/β3言語(リジナ語)

2009年頃

概説

これまでの言語は試案レベルで名称が無かったが、ここから言語に名前がついた。

明確にβ言語との連続性が見受けられるが、音素レベルで変更が入っている。ロシア語とドイツ語を学習したために、ロシア語の影響で弱母音と強母音の概念が取り入れられている。動詞が-eで終わる点がイジェール語に引き継がれている。また、途中で人称代名詞が変更されており、変更後の人称代名詞はイジェール語の古形の人称代名詞として取り入れられている。

語順は比較的自由なものの、通常はSOVの語順をとる。
SOVの動詞を連用形で終わらせることで節を作ることができる。
重要な単語ほど文頭に来る。

音素と発音

母音:aiueo AIUEO
子音:hkstnrpmwfgzdbv

母音:aiueo AIUEO
子音:hkstnrpmfwgzdbv

以上の5+5母音16子音を用いる。
AIUEOはそれぞれ

A:ィヤー
I:ィイー
U:ィユー
E:ィエー
O:ィヨー

の弱母音。

i,uが無声子音に挟まれると無声化する。
後ろから3番目の音節にアクセント核が置かれる。

品詞

名詞
動詞
補助動詞
形容詞

副詞は形容詞の連用形を用いる。

名詞

全部で9の格を持つ。格はこれらの格助辞で表される。

主格 -a ※省略可
生格 -i
与格 -as
対格 -is
奪格 -an
接格 -on
向格 -in
具格 -if
共格 -of

人称代名詞

初期
単数 複数
一人称: va var
二人称: en enar
三人称: sA sAr

後期
単数 複数
一人称: va var
二人称: ta tar
三人称
生物: sA sAr
非生物: sa sar

主格 :va vara
所有格 :vi vari
与格 :vas varas
対格 :vis varis
奪格 :van varan
共格 :vof varof

指示語

事物  場所  方向  人称  形容詞 

近称: kir kik kim kit kis
中称: ser sek sem set ses
遠称: ar ak am at as
不定称: der dek dem det des

近称は話し手の近くを表す。
中称は聞き手の近くを表す。
遠称はどちらからも遠い場合を表す。また、記憶の中など心理的に遠い場合も表す。
不定称は不確定なものを表す。

事物、場所、方向、人称の指示語は名詞なので格変化を起こす。
※【この】は[kir]の生格である[kiri]で表す。[kis]の訳は【こんな】。

動詞

終止形は語尾が-eで終わる。eを除いた部分を語幹として扱う。
辞書に載るのはeを含めた叙述形である。

叙述形: -e
連用形: -u
命令形: -Ee
連体形: -ei

補助動詞

助動詞ではないのは、これ単体では意味をなさないからである。つまり、動詞抜きには成立しないということである。英語のYes,I can.の様な使い方は出来ない。動詞専用の接辞ともいえる。
主に

【態】
使役: –
受身: –
※両方使うときは「使役→受身」の順
【相】
継続: -t
完了: –
【時制】
過去: –
未来: –

否定: -ne
使役: -ze
受身: -re
可能: -ge
過去: -de
未来: -ve
継続: -me
完了: -se
意志: -be

の4つを使用する。これらは動詞とくっつき一つの動詞のようにふるまう。また、連用形を用いることで多重連結が可能。
【動詞】-【態】-【相】-【時制】

形容詞

連用形: -en
終始形: -iik
連体形: -iik

【速い車】
faziik kram

cf)【速さの単位】
fazi

【速く会いたい】
fazen cetu’be

【私はその速い車を買いたい】
va siri faziik kramis kanu’be.

γ言語

2010年頃

概説

β言語との連続性がほとんどなく、これまで主に日本語をベースとしていたものを、英語ベースに改めて作り直したもの。動詞から-(e)skで名詞派生を生成する点などが現在のイジェール語に引き継がれている。

品詞

名詞
動詞
形容詞
副詞
後置詞
間投詞

名詞

末尾の音素に制限はない。
母音で終わると女性的、子音で終わると男性的なイメージを持つ場合がある。

語幹そのままで名詞として機能するが、いくつかの接辞により別の意味の名詞に派生させることもできる。

・名詞接辞
-asm[~主義]
-ast[~主義者]
-(i)sk[~的]

・動詞接辞
-rin[~する者]
-tie[~する物]
-nk[~すること]
-sk[~するようなこと]

人称代名詞

一人称・二人称・三人称の単複があるが、複数形作成は規則的。

・単数
一人称:va
二人称:ta
三人称:za

・複数
一人称:vora
二人称:tora
三人称:zora

・格変化(全て最後のaを取って付け替える)
主格:-a
生格:-o
対格:-is
与格:-an

指示代名詞

事物  場所  方向  人称  形容詞 副詞  

近称 kir kik kim kit kirI kirEm
中称 ser sek sem set serI serEm
遠称 ar ak am at arI arEm
不定称 rer rek rem ret rerI rerEm

動詞

動詞化語尾-Aをつける。
これにより自動詞化する。

tiakA[教える(teach)]のように明らかに他動詞のものはそのまま他動詞に、
通常自動詞のものはかわりに-erAをつけると他動詞化する。
stendA[立つ(stand)] → stenderA[立てる]

終止形:-A
連用形:-U
連体形:-O

時制
現在・過去・未来の3つ。無標で現在形。
go- 【過去形】
fo- 【未来形】

アスペクト
進行・完了・無相の3つ。無標で無相。
状態動詞の場合は継続・完了、
行為動詞の場合は進行・結果を示す。
起動相は-(u)sAをつけた新たな動詞、終結相は-(u)mAをつけた新たな動詞となり、
それぞれそのまま通常の行為動詞としてふるまう。

進行:-(u)tUr
完了:-(u)dAr


能動態・受動態の2つ。無標で能動態。

形容詞

名詞を修飾する。
形容詞語尾は-I

副詞

動詞・副詞・形容詞を修飾する。
副詞語尾は-Em。

ε言語(旧イジェール語)

2010年頃

概説

現在のイジェール語に繋がる直接の言語。しかし語彙の連続性はあまりなく、英語ベースとなっている。ほとんどの文法事項はγ言語のままであり、現イジェール語とは差異が大きい。使用する音素は現在のイジェール語とほぼ同じだが、現イジェール語には無い強母音と弱母音の区別がある。

基本語順はSOV。ただし格変化と格助詞の併用により比較的自由。
修飾語は前置修飾。句も前置修飾だが、動詞については動詞語尾や助動詞が後ろについて行く。
複合語は右側決定。アクセント位置によって複合語かどうかが分かる。

例)
festI trAin [フェスチー・トリャーイン] (速い電車)
festotrAin [フェストトリャーイン] (高速鉄道)

音素

子音:hkstnrpmf gzdbv
母音:aiueo (AIUEO) w

母音はアクセントが付くと軟母音化し、日本語で言う「ヤ行」の発音になる。
ほぼ日本語通りに発音だが、hは無声軟口蓋摩擦音、dの軟母音化した音は日本語のジャ行であることには注意が必要。
アクセントと軟母音化が密接な関係にあるためsi「スィ」とsI「シ」、tu「トゥ」とtU「チュ」などは発音し分ける必要がある。
また、軟口蓋音は軟母音化が起こらない。よってh,k,gの後の母音はアクセントが来ても軟母音化しない。

アクセント

アクセントは高低アクセントで、長音化の傾向もある。
軟母音化を伴うが、軟口蓋音、両唇破擦音は軟母音化しない。
代名詞や助詞を除けば全て規則的である。
アクセントは名詞なら必ず最後の子音のひとつ前の母音におかれる。
ただしその母音が二重母音だった場合は二重母音の左側の母音にアクセントがおかれる。
形容詞や動詞はアクセント移動を伴うため、この限りではない。
正式文書に於いてはアクセント位置が明記されるが、手書きやメールなどでは省かれる場合も多い。

例)
fEst [フェースト] (速さ)
festI [フェスチー] (速い)
trAin [トリャーイン] (電車)
kEr [ケール] (車)

イントネーション

平叙文では文末へ向けて音がさがる。
疑問文では文末のne?で急激に音が上がるか、不定称のところで強調のためにひときわ高くなる。

音節構造

最大でCCVCCの構造である。
母音連続は2つまでで、名詞語尾が母音連続で終わることは無い。

品詞

名詞
動詞
形容詞
副詞
助詞
接続詞
助動詞

名詞

名詞は格助辞によって格変化する。
括弧内は子音で終わる名詞の場合に付く 。 

主格: -a
生格: -o
対格: -(i)s
与格: -(a)n

これらの格以外の格は格助詞で表される。

奪格:<対格> + in
処格:in
入格:<与格> + in
具格:di
共格:te

主格

主格は文の主語となる。

生格

生格は物の所属関係を示す。
「名詞の生格」と「名詞の形容詞化」とが似た意味になる場合も多いが
・生格:物理的に所属関係がある
・形容詞:同格表現
の場合に用いることが多い。どちらをどの程度用いるかには個人差がある。

対格

直接目的語を示す。
「~を」と訳せる場合が多い。

与格

間接目的語を示す。
「~に対して」と訳せる場合が多い。
日本語の「~に」格よりも意味が狭く「~によって」「~に向かって」はそれぞれ別の表現を持つ。

例)
seran [セラン] (それに対して)
seran in [セラン・イン] (それに向かって)
※実際の発音は[セラニン]に近い
ser di [セル・ディ] (それによって)

ser [セル] (それ)

人称代名詞

人称代名詞は単数と複数の区別がある。
主格・生格・対格・与格の4つに格変化する。

数 単数 複数
人称\格 主格 生格 対格 与格 主格 生格 対格 与格
一人称 va vo vis van vora voro voris voran
二人称 ta to tis tan tora toro toris toran

三人称は指示代名詞を用いる。

指示代名詞

指示代名詞は日本語で言う「こそあど言葉」に当たる。
事物(これ、それ、あれ、なに)
場所(ここ、そこ、あそこ、どこ)
人称(こいつ、そいつ、あいつ、だれ)※侮辱的意味は無い

事物  場所  人称      形容詞 副詞

近称 kir kik kit kirI kirEm
中称 ser sek set serI serEm
遠称 ar ak at arI arEm
不定称 wor wok wot worI worEm

近称は話し手に近いものを指す時に、中称は聞き手に近いものを指す時に、遠称は双方から遠いものを指す時、及び記憶の中のものを指す時に用いる。
不定称については疑問詞の欄を参照。

関係詞

西洋言語の様な関係詞は無く、動詞の連体形を用いて関係節を作り接続するという形が基本となる。 
こういった場合は語順がSOVに固定される。(Vが最後でないと節が作れない) 

疑問詞

独立した疑問詞と言う物は無い。指示代名詞の不定称を用いる。
場所(どこ):wok
人称(だれ):wot
事物(なに):wor

上記3つを基本として
形容(どんな):worI
様態(どの様に):worEm
時間(いつ):worI tAm in

を用いる。

形容詞

形容詞は-Iで終わる。名詞に-Iをつけることで動詞化することができる。

副詞

形容詞は-Emで終わる。名詞に-Emをつけることで動詞化することができる。
fEst(速さ)やvAk(大きさ)などの抽象的かつ動詞との関連が深い概念は単純に副詞化し、
festEm(速く)、vakEm(大きく)となるが、ものの名称につくと「~の様に」という意味になる。

例)
votirfraEm densiA , unitEm estankA .
[ヴォチルフリャーィエム・デンスィヤー,ウニチェーム・エスタンカー]
(蝶のように舞い、蜂の様に刺す)
※一度日本語に訳されてから再訳されているので表現がfloatではなくdanceになっている。

unIt(蜂)
votIrfra(蝶)
densiA(踊る)
estankA(刺す)