ある、なる、いる
- 初版:2015年08月22日
- 更新:2022年07月31日
特殊な動詞
イジェール語における特殊な動詞は、dore、nore、areの3つが挙げられる。これらのうち、dore、areは状態動詞である(他の動詞は状態遷移動詞)。また、areは原型のままでは唯一の自動詞である(dingomeの様に目的語を前置した複合自動詞は多く存在する)。
doreはコピュラに当たる動詞である。主格が何かと同一である(指定文)か、何かの要素を持つ(措定文)ことを表す。目的語として無格の名詞および記述詞を取ることができる。doreは基本的に省略可能である。ただし、相を明示したい場合と関係節内では省略不可である。
noreは「~が…になる」を意味し、無相でも現在は未完結であり、将来的に実行される可能性が高いこと含意する。これは、doreではなくnoreを選択する理由が、主に「過程に注目したい」場合か、「現在はその状態にないが将来なる予定がある」のふたつであることによる。
動詞 | 意味 | 自動詞or他動詞 | 状態or遷移 | 特記事項 |
dore | ~は…である | 特殊 | 状態 | 無格の対象を取る、記述詞を対象に取れる |
nore | ~が…になる | 他動詞 | 状態遷移 | 無相で未完結を含意する |
are | ~が存在する | 自動詞 | 状態 | 唯一の自動詞 |
状態動詞の相
状態動詞であるdoreとareは特殊な相体系を持つ。
相の名前 | 活用語尾 | 意味 |
原型(無相) | -e | ~の状態である |
未然相 | -destin | まだ~の状態ではない |
開始相 | -des | ~の状態になり始まる |
進行相 | なし | なし |
完了相 | なし | なし |
状態相 | なし | なし |
完結相 | -ittera | ~の状態が既に終了しており、現在はその影響下にない |
経験相 | -ar | ~の状態だったことがある |
例
- Ref ireaom dore. | 私は医者だ。
- Ref ireaom. | 私は医者だ。
- Ref ireaom dorittera. | 私は医者だった(今は医者ではない)。
- Ref ireaom dorar. | 私は医者だったことがある。
- S’af ican dore. | 彼女は美しい。
- S’af ican. | 彼女は美しい。
- S’af noret ican. | 彼女は美しくなった(今も美しい)。
- S’af norittera ican. | 彼女は美しかった(今は美しくない)。
- Ref ze s’af ireaom dore n u dosnittera. | 私は彼が医者だと聞いている。
この例の場合、doreは関係節内なので省略不可。 - Ref ireaomu nore. | 私は医者になる。
今医者ではないからと言って、nordestinにする必要はない
(doreを使用していない時点で現在医者でないことはわかるため)。 - Ref ireaomu noret. | 私は医者になった。
現在が「医者になる」の完了点である=医者になりたてである - Ref kuvera are. | 私はここに居る。
- Ref kuvera arittera. | 私はここに居た。
新出単語
品詞 | 単語 | 音素 | 発音 | 意味 |
名詞 | ireaom | /irewAom/ | イレワーオム | 医者 |
名詞 | ican | /Ican/ | イーツァン | (永続的に)美しい、美しく |