派生
- 初版:2013年09月29日
- 更新:2023年02月12日
派生に関する注意点
動詞の意味の基本は「Aという状態にする」である。そのため、単純に動詞語尾を外して名詞を作ると、受動的な意味になる。また、故意か否かに重きをおき、明確な意図を持って行った場合と無意識に行った場合で動詞が異なることがある。名詞においては自然と人工の区別に重きを置かず、人工物か自然物かの区別は専ら記述詞によりがちである。
連濁
このように複数語を接続する際は、無声子音に対して義務的な有声化が発生する。これを連濁と呼ぶ。h,k,s,t,c,p,fがそれぞれg,g,z,d,d’,b,vになる。変音記号がついていても同様に処理する。右側の要素の語頭がskやspのように連続無声子音であった場合、両子音共に連濁を起こす。つまり、sk が zg になる。
連濁の例外
連濁には例外があり、自動詞化する接頭辞の mir- は連濁を起こさない。
派生の基本は動詞であり、動詞から記述詞や名詞へ派生するパターンが多い。
複合語の修飾関係
uie|速い状態、harme|車、fire|道を基に作られた合成語uiegarmevire|高速自動車道は「速い車の道」である。一方、ebar|粒子、uieを基に作られた合成語ebaruieom|粒子加速器は「粒子を速くするもの」である。この2語において、uieは「速い状態の」という形容詞的な意味と、「加速させる」という動詞的な意味の双方で用いられている。
合成語においては、このように品詞情報が消えてしまい、品詞関係は文脈によって判断されることとなる。例えば、acesk|落下物 と tiragom|防護する主体、aksok|防護柵 を複合させると、 *aceskdiragomaksokではなく acdiragaksok|落下物から防護するための柵 が生成される。これはaca|落下する主体 との複合語であるacdiragaksok|転落防止柵 と見分けがつかなくなる。このふたつは、通常文脈によってのみ区別されることとなる。
複合語の能受関係
前述の例を持ち出すと、例えば合成語として
- ebaruie|粒子加速
- uieebar|高速粒子
という語を作ることが出来る。この2語において、uieは「速くする~」と「速くされた~」の双方の意味で用いられている。つまり、合成語においては能動、受動の区別も消えてしまう。
複合語成分間の関係
例えば日本語には
- 並列関係:成分同士の関係が対等
- 従属関係:一方の成分にもう一方の成分が従属している関係
の2種類の複合語がある。イジェール語ではこのうち並列関係の語はそのまま連結して造語できない。cok|父+pam|母=cokpam|父母 とはならない。fiidanc|親 を用いる。「紅白」を示したいときもdirz’areではなく、dir ta s’are|赤と白 という言い方をする。一方で、o- を用いることで、並列の記述詞を作ることは許可される。cok|父+”o-“+pam|母=coko-pamin|父母の は問題ないが、coko-pam という名詞形は許可されない。また、このo-はもととなった名詞の最後の母音を書き換える。sone|国+”o-“+pabri|民=sono-pabrin|国家と人民の間の となる。
また、人名は単一の複合語を構成できない。-(i)sや-(i)nといった修飾語として複合語を形成する。
- dingzgez Guigensin|ホイヘンスレーダー=フェーズドアレイレーダー
- kiz Doprer’in|ドップラー効果
他にも傾向を纏めると
- 人名は複合語の要素になれない。
- 4以上の単語が複合語を作ることを避ける。
- ~esk のような派生語尾がついた単語の後ろに別の単語をつけることを避ける。
のような傾向がある。
名詞からの派生
- t(e)- ~さ、~の程度
te- はマーカーとしての機能を果たすために名詞句を形作る際には前置修飾(例えば所有属格)を避ける傾向が強い。
例
- tei sendan|音程
- tei uivan|波長
- tedungi sekdan|直径
動詞(-e)からの派生
- -in ~されるような、~に関する
- -esk ~される物、人、(使役的な動詞を基に、受動的に)~させられる人
- -a 自らに~する者、人(再帰)
- -an 自らに~する性質を持っている
- -om ~する人、物、(使役的な動詞を基に)~させる人、物
- -omin ~するような、~的な
動詞語尾のeを取り去ったものが「~された状態」を表し、-eskは「~された物」を表す。-eskはその動作が完了している物を含意する。なお、-inと-ominの意味の差は明確ではない。なぜなら、-inは動詞からの派生としては「~されるような」被動的な状態を示す語を形成するが、名詞からの派生としては「~の動作に関連する」という意味になるため、動詞→記述詞の派生と動詞→記述詞→名詞の派生の見分けがつかない以上、どちらともとれる語が形成される。
同様に、-eskと原型の区別も時に曖昧になる。これは、名詞→動詞の派生で形成される動詞を基に、動詞-eskが形成されたときに顕著である。
このことから、-ominは-inが通常被動側を指すと考えられるような動詞からの派生語に対して、能動性を強調するために用いられる。
例
- ruzeme|束ねる
- ruzem|束ねること
- ruzemesk|構成員、構成要素
- akser|戦わせる
- aksera|戦う人、戦士
- akserom|戦わせる人、指揮官
- mare|見る
- maresk|見られる物
- marin|見られている~
- maromin|見ている~
- dedin|醜い
- dediesk|醜いもの、醜い人