外来語の取込みと派生
- 初版:2014年01月18日
- 更新:2024年10月06日
外来語の取込み傾向
イジェール語は品詞によって語尾が制限されているため、外来語は制約の薄い名詞として取り込まれる事が多い。元々形容詞や副詞だったものは、イジェール語の制約に従って語尾が付与される。動詞は制約が多いため、そのまま動詞として取り込まれることは殆ど無い。
固有名詞ではない普通の単語は、アクセント位置を合わせるように調整されることが多い。聞こえ度の低い母音を削除したり、語尾にaを挿入して無理やり末尾から2つ目の母音にアクセント位置が来るように整える。一方で、固有名詞は綴りの正確さを重視して、発音は二の次になることがある。これは、一般名詞に比べて固有名詞の表記には規則性が求められるからである。しかし、固有名詞でもアクセント位置の調節が行われるものもあり、より人口に膾炙した表現が生き残る事になる。
例
- ru:уран→ur’ana「ウラニウム」
元の発音のアクセント位置がウラーンなので、aを挿入して調整。 - ru:Япония→Iapon’ia「日本」
元の発音のアクセント位置はイポーニヤだが、綴りを重視した結果イヤポニーヤになっている。
外来語の派生
元からイジェール語である名詞は性質や状態を表すものが多く、動詞への派生も名詞が性質を表すことを前提としている。このため、外来語にそのまま動詞語尾-eをつけて動詞化することは殆ど無い。一方で、記述詞は「~的な、~っぽい」という意味への派生が認められるため、-(i)nをつけて記述詞に派生することは多々ある。
国際音声記号との対応
太字の部分は本来イジェール語に存在しない音素であり、外来語を音写する際の参考音素を表記する。また、—の部分は調音が不可能であるとされている音素である。なお、必ずこの対応表に従うという保証はなく、語の流入経緯によって表記には揺れがあり得る。例えば、ドイツ語のrは発音を基にするとhに訳されやすいが、表記に引きずられてr’で導入されることがある。これは、日本語における「メリケン」と「アメリカン」の違いと似ている。
非円唇,円唇 | 前舌 | 中舌 | 後舌 |
狭 | /i/,/u/ | /i/,/u/ | /u/,/u/ |
半狭 | /e/,/u/ | /e/,/u/ | /u/,/o/ |
中央 | /e/,/o/ | /e/,/o/ | /o/,/o/ |
半広 | /e/,/e/ | /e/,/a/ | /o/,/o/ |
広 | /a/,/a/ | /a/,/a/ | /a/,/a/ |
唇音 | 歯茎音 | 後部歯茎、硬口蓋音 | 軟口蓋音 | |
破裂音 | /p/,/b/ | /t/,/d/ | /t’/,/d’/ | /k/,/g/ |
破擦音 | /p/,/v/ | /c/,/d’/ | /t’/,/d’/ | — |
鼻音 | /m/ | /n/ | /n’/ | /h/,/g/ |
摩擦音 | /f/,/v/ | /s/,/z/ | /s’/,/z’/ | /h/,/g/ |
ふるえ音 | /f/ | /r’/ | — | — |
はじき音 | /f/ | /r/ | — | — |
接近音 | /w/ | /r/ | /y/ | /h/ |