動詞の分類
- 2013年06月16日
- 人工言語
- No Comment
動詞を増量する前に,動詞の分類についてまとめておこうと思う.
によると,動詞はいくつかの属性で分類できる.
- 結合価による分類
- 相による分類
- 意志による分類
- 視点による分類
の4つである.それ以外に考えらえるのは
- 語形変化による分類
- 敬意による分類
- 成立過程による分類
- 定不定による分類
等が挙げられそうだ.
イジェール語ではこれらの内,語形変化,敬意については分類が無い.動詞はすべて規則変化であり,敬語は専ら統語によって示すので,語彙レベルでの差はない.ひとつひとつ見ていく.
結合価による分類
自動詞,他動詞の分類がある.無標で他動詞であり,mir-を付けて自動詞化することができる.助詞によって格が明示されるため,英語の様に厳密な意味での二重他動詞は存在しない.また,能格動詞も存在しない.
相による分類
イジェール語は開始相,継続相,完了相,結果相,完結相の5相体系である.
このうち,5相全てを備える行為動詞と,進行相と完了相を欠く状態動詞に分けられる.状態動詞は「読む」や「泳ぐ」など,動詞の主眼が動作や変化ではなく状態に向いている物が分類される.
状態動詞の方が数が少ないため,状態動詞は辞書において明示される.形態,統語上の差はない.
意志による分類
動詞によっては区別がある.意識的に殺すを意味するkureeと,過失によって殺してしまう場合を意味するkareがその一例.自動詞にしたときに意味の差が出るものについて,こういった区別が起きやすい.
kureeの自動詞形mirkareは単に死ぬという意味だが,mirkureeは自殺になる.
視点による分類
主語が動作主である場合と,主語が使役主である場合があるが,形態上は区別しない.
成立過程による分類
日本語における助動詞は殆どが法記述詞(つまり法副詞)に吸収されているため,補助動詞的な複合動詞は少ない.
少なくとも現時点では殆どない.
定不定による分類
定動詞と不定動詞は形態による区別が無いが,相体系に影響がある.イジェール語では定動詞と不定動詞はそれぞれ行為動詞と状態動詞に取り得る相体系が一致する.
歩くを意味するedokeは,対象に向格(~へ)を取る.この場合は定動詞=行為動詞として扱われ,6相全てを持つ.一方で対象に与格(~に)あるいは所格(~で)を取った場合は不定動詞=状態動詞となり,与格の場合は反復的に動作する場合を,所格の場合はその場で目的地を持たずに動作を繰り返すことを指す.
ref durnir edoke. 私は門へ(向って)歩く.
ref durra edoke. 私は門(の周り)で歩き回る.
ref durni edoke. 私は門へ(日常的に,何度も)歩く.
1つ目の例文は行為動詞と同じ相体系だが,後者2つは状態動詞と同じ相体系となり,進行相と完了相を欠く.
…こんな感じかな.とりあえずこれだけ整備すれば,動詞をバンバン増やしても問題なかろう.