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文・節・句

イジェール語において文とは、ある物事や性質を記述するための、動詞を中心としたひとかたまりのことである。統語的には、読点や疑問点などの終止符号で区切られた単語群のことを指す。

伝統的にイジェール語においては文の本質とは動詞であると見なされており、あらゆる要素は動詞を修飾する要素であると見なされている。動詞と動詞を修飾する記述詞をまとめて述語と呼び、文の基本要素であるとする。このことから、動詞を含む文のみを完全文と呼び、動詞が省略された文のことを不完全文と呼ぶ。

より現代的な解釈としては、文の最小構成要素は単語である。”Sefomef tire?”「誰が言ったの?」に対して、名詞単独で構成される”Ref.”「俺が(言った)。」は最小の文として成立する。同様に、”Naraf ardira sevore?”「あなた昨日何してたの?」に対しての、動詞単独で構成される”Mirnarietra.”「寝てた。」は文として成立する。文脈によって記述詞も単独で返答になり得ることから、あらゆる単語が文脈によっては文として成立する。

節とは、伝統的には句の構成要素に文を含むもののことである。しかし、文の項で触れたように、イジェール語ではあらゆる単語が文を構成できるため、これだけでは説明としては不十分である。現代では、節には修飾節と名詞節があると解釈されている。

修飾節は完全文 (i)nで構成されるものであり、最小構成要素は動詞 (i)nである。”… mirdeivetra n”「生きている…」、”… reu deve n”「私を好きな…」、”… renkeu koe n”「リンゴを食べる…」などが該当する。修飾節は節全体として記述詞と同じ働きをする。

名詞節の最小構成要素はZe 記述詞または先行詞 修飾節である。”Ze dirin”「赤いこと」の様に通常の記述詞を利用するものと、”Ze mirdeivetra n”「生きていること」のように前述の修飾節を記述詞として用いたものが含まれる。修飾節を用いた名詞節は非常に長いものが存在し得る。”Ze ardira renkeu koe n”「昨日リンゴを食べたこと」、”Ze ref 2-iri-behra varu guvancoskittera n”「私が2年前に車を買い替えたこと」などが挙げられる。

ze は関係節の表に従って格変化し、修飾節内の文における先行詞の格を表示する。先行詞を取る場合は ze が必須要素ではなくなる。詳細は関係節を参照のこと。

句とは、単語相当の働きをする複数語からなる単一のかたまりのことである。句の最小構成要素は被修飾語+修飾語の2単語である。”fom deivin”「生者」、”gere merin”「土の色」、”akser moverian”「無意味な争い」などが最小の句となる。修飾語は修飾節でも良いため、”fom [mirdeivetra n]”「生きている人」なども名詞句となる。

イジェール語では英語と異なり主語(主格)や目的語(対格、与格)を自由に省略可能であるため、英語における句が節に相当する構造で表される場合がある。

英語 イジェール語 区分
to meet him ze (ref) s’au rume n 名詞節
place to meet him fadis (zera) (ref) s’au rume n 名詞+修飾節
a man who loves you orka (zef) narau deve n 名詞+修飾節

文法の変更について

イジェール語の文法を久々に改定することにした。契機は二つあり、ひとつは属格の意味があいまいであること、もうひとつは関係節の構造にしっくり来ていなかったことがある。

イジェール語には二つの属格があるが、特に記述属格については意味が曖昧であった。記述属格は名詞の記述詞形と同じ形となるが、記述詞はある状態に関連するということを意味する単語であるため、意味はかなりあいまいになる。例えば dirin|赤い、akserin|戦わされる は一般的な記述詞だが、これらはそれぞれ dirin|赤の、akserin|戦いの といった名詞の属格形と同形である。このため、s’o dirin|赤い靴、def dirin|赤の広場、fom akserin|戦わされる人、zik akserin|戦いの時 などがそれぞれ属格と記述詞のどちらを用いているのかは文脈によって判断されることになる。このことは、 “fom akserin” が「戦いの人」と「戦わされる人」の区別が(形態上は)つかなくなることを意味する。akserin が akser に対してどのような関係であるのかは、機械的には定まらないということである。

以上の分析からすると、そもそも格として記述属格というものを認める必要はなく、これは記述詞派生接語であると見た方が良いように思う。日本語の「の」との対比で所有属格と記述属格を定めていたが、イジェール語における属格は所有属格のみで、所謂連体修飾的な関係は全て記述詞で行うこととする。

ここまでの変更は、単に属格と記述詞の区分けの変更であって、構文上は大きな変更ではない。これを節や句による修飾に拡張すると、現行の文法から大きく変わる部分が現れる。

関係節:名詞節の記述詞形

従来、関係節として説明されていた構文は、名詞節の記述詞形として解釈されることとなる。関係代名詞だったものは、今後は名詞節に対して先行詞の格関係を表示するマーカーという省略可能な要素として扱われる。

従来の説明では、”zik zera 文 ra” が標準的な「~した時」を指す表現だった。ここで、”ze 文” で「~すること」という名詞句を生成できることを考えると、”zik 記述詞” 相当の表現として、名詞句の記述詞形として “zik ze 文 n” でも成立することになる。

Ref zik ze ref bei dore n u sevandore uvan. |私は子供の時の事をよく思い出す。
Ref zik zera ref bei dore n u sevandore uvan. |私は子供だった時の事をよく思い出す。
Ref zik ref bei dore n sevandore uvan. |私は私が子供の時をよく思い出す。
Ref zik bein u sevandore uvan. |私は子供の時をよく思い出す。

3つ目の例は、今回の改定で可能になった表現である。文である “ref bei dore”は後接した “n” によって”ref bei dore n”という名詞節の記述詞形となっている。”zik” の名詞節内での格関係を明示したい場合にのみ、”zera” を標示すれば良い。

「私は子供だ」と「時」の何らかの関係が記述詞形とすることによって結び付けられており、ここでは文脈から最も妥当な関係が選択されていると考えることができる。このことは、単純に記述詞派生として bei「子供」と zik「時」を接続させても非文とならない……時が子供っぽい、時が子持ちである、時が子供の所有物である、などの可能性がある中から、私が子供であったその時、という意味が選択されるのは文脈による作用である……ことからも妥当であると言える。

名詞節:名詞節の名詞形

「~すること」のような名詞節を名詞として使用する場合は従来通り “ze” から始まる節とする。また、”ze” は名詞節だけでなく名詞句を生成することにも使うよう、意味を拡張する。

Ref ze Arhemarara mirsomittera u sevandoretra. |私はアルヘマーラに住んでいたことを思い出した。
Kun varef ze cokef ardira koaetra. | その車は父が昨日買ったものだ。
Ze dirin u reeke. |赤いのが好き。
Mon tire ze tun u. |そんなこと言うな。

この場合も、名詞節の記述詞形としてなら”ze”は省略可能である。つまり、下記の表現ができる。

Ref Arhemarara mirsomittera n u sevandoretra. |私はアルヘマーラに住んでいたのを思い出した。
Kun varef cokef ardira koaetra n. | その車は父が昨日買ったのだ。

名詞句生成に使う場合の”ze”は省略できないが、口語表現としては明白な要素の省略が可能であるため、下記の表現が可能である。下記の表現はインフォーマルな表現となる。

Dirin u reeke. |赤いのが好き。
Mon tire tun u. |そんなこと言うな。

苗字と名前のリスト

これらは一例であり、全リストではない。

苗字

おおよそ表の上に行くほど人口が多い。

イジェール語 発音記号 発音
Somisa /somIma/ ソミーマ
Z’unsen /z’Unsen/ ジューンセン
Uadiumaza /uwadiumAza/ ウワディウマーザ
Badean /badEan/ バデーアン
Z’unza /z’Unza/ ジュンザ
Madu /mAdu/ マードゥ
Diibisa /diwibIsa/ ディウィビーサ
N’ureis’iu /n’ureis’Iyu/ ニゥレイスィーユ
Rerudihisa /rerudihIsa/ レルディヒーサ
Uadasen /uwadAsen/ ウワダーセン
Mudocinasa /mudocinAsa/ ムドツィナーサ
Undezan /undEzan/ ウンデーザン
Tiiru /tiwIru/ ティウィール
Tumsa /tUmsa/ トゥームサ
Hirnenrasa /hirnenrAsa/ ヒルネンラーサ
Dii /dIwi/ ディーウィ
Mecin /mEcin/ メーツィン
Z’egasen /z’egAsen/ ジェガーセン
Tunfasen /tunfAsen/ トゥンファーセン
Mukanu /mukAnu/ ムカーヌ
Dubisa /dubIsa/ ドゥビーサ
Da /dA/ ダー
Tidara /tidAra/ ティダーラ
Dunsen /dUnsen/ ドゥーンセン
Bariumaza /bariumAza/ バリウマーザ
Hidain /hidAin/ ヒダーイン
Z’enri /z’Enri/ ジェーンリ
Maru /mAru/ マール
Buahari /buwahAri/ ブワハーリ
Uair’asen /uwair’Asen/ ウワイラーセン
Nediri /nedIri/ ネディーリ
Merfanbera /merfanbEra/ メルファンベーラ
Metin /mEtin/ メーティン
Hebeita /hebeIta/ ヘベイータ
Gunzurisa /gunzurIsa/ グンズリーサ
Hedega /hedEga/ ヘデーガ
Roisa /roIsa/ ロイーサ
Rebansen /rebAnsen/ レバーンセン
Augu /aUgu/ アウーグ
Pidisa /pidIsa/ ピディーサ
Ienga /iEnga/ イエーンガ
Edin /Edin/ エーディン
Sentasa /sentAsa/ センターサ
Deira /deIra/ デイーラ
Kain’a /kaIn’a/ カイーニャ
Sakuta /sakUta/ サクータ
Hadan /hAdan/ ハーダン
Bihu /bIhu/ ビーフ
Erumasa /erumAsa/ エルマーサ
Nirasen /nirAsen/ ニラーセン
Fada /fAda/ ファーダ
Demirasa /demirAsa/ デミラーサ
Keinbira /keinbIra/ ケインビーラ
Macira /macIra/ マツィーラ
Ruca /rUca/ ルーツァ
Kecu /kEcu/ ケーツ
Fadipasa /fadipAsa/ ファディパーサ
Ibunza /ibUnza/ イブーンザ
Tenu /tEnu/ テーヌ
Tudisa /tudIsa/ トゥディーサ
Pegu /pEgu/ ペーグ
Kudinza /kudInza/ ケディーンザ
Irebuza /irebUza/ イレブーザ
Saraeca /saraEca/ サラエーツァ
Madedari /madedAri/ マデダーリ
Mudisa /mudIsa/ ムディーサ
Goan /gOwan/ ゴーワン
Mevi /mEvi/ メーヴィ
Dabaru /dabAru/ ダバール
Koga /kOga/ コーガ
Duz’usa /duz’Usa/ ドゥジューサ
Muhun /mUhun/ ムーフン
Pacusen /pacUsen/ パツーセン
Kobu /kObu/ コーブ
Seca /sEca/ セーツァ
Sazaka /sazAka/ サザーカ
Nisamirma /nisamIrma/ ニサミールマ
Nihisa /nihIsa/ ニヒーサ
Ane /Ane/ アーネ
Butunui /butunUi/ ブトゥヌーイ
Iumemata /iyememAta/ イェメマータ
Hisadari /hisadAri/ ヒサダーリ
Suhadirma /suhadirUma/ サハディルーマ

名前

男性形と女性形は、同根であるというだけで、互いにそろっているとは限らない。日本語でケイタとケイコは存在するが、タロウに対してタロコは存在しないのと同様である。子音とoで終わると男性名、a, i で終わると女性名、u は不定という印象が非常に強く、文法性が無いにもかかわらず実際の名前はほとんどこれらの規則に合わせて決められる。しかし、古い名前はこの法則に従わないことがある。

男性形 発音記号 発音 女性形 発音記号 発音
Z’ihab /z’Ihab/ ジーハブ Z’ihaba /z’ihAba/ ジハーバ
/—/ Meihara /meihAra/ メイハーラ
/—/ Mes’a /mEs’a/ メーシャ
/—/ Z’uza /z’Uza/ ジューザ
Karastaf /karAstaf/ カラースタフ Karastafa /karastAfa/ カラスターファ
Nagrus /nAgrus/ ナーグルス Nagrusa /nagrUsa/ ナグルーサ
/—/ Enrera /enrEra/ エンレーラ
/—/ Z’uziha /z’uzIha/ ジュズィーハ
Deniaro /deniAro/ デニアーロ Deniara /deniAra/ デニアーラ
Tiiru /tiwIru/ ティウィール Tiira /tiwIra/ ティウィーラ
Uadiumo /uwadiUmo/ ウワディウーモ Uadiuma /uwadiUma/ ウワディウーマ
Badenran /badEnran/ バデーンラン Badenrana /badenrAna/ バデンラーナ
Z’un /z’Un/ ジューン Z’una /z’Una/ ジューナ
Zegro /zEgro/ ゼーグロ Zegri /zEgri/ ゼーグリ
/—/ Enzeni /enzEni/ エンゼーニ
Zimazo /z’imAzo/ ジマーゾ /—/
Z’unsuno /z’unsUno/ ジュンスーノ Z’unsuna /z’unsUna/ ジュンスーナ
Uzarin /uzArin/ ウザーリン Uzarina /uzarIna/ ウザリーナ
/—/ Semara /semAra/ セマーラ
Kiemaran /kiyemAran/ キェマーラン Kiemarani /kiyemarAni/ キェマラーニ
Eden /Eden/ エーデン /—/
/—/ Eruma /erUma/ エルーマ
/—/ Imiri /imIri/ イミーリ
Fenu /fEnu/ フェーヌ Fenu /fEnu/ フェーヌ
Sumens /sUmens/ スーメンス /—/
/—/ Irizebira /irizebIra/ イリゼビーラ
Barienu /bariEnu/ バリエーヌ Barienu /bariEnu/ バリエーヌ
Enu /Enu/ エーヌ Enu /Enu/ エーヌ
Z’ezamin /z’ezAmin/ ジェザーミン Z’ezamina /z’ezamIna/ ジェザミーナ
Kiirarin /kiwirArin/ キウィラーリン /—/

過去の言語制作の記録

イジェール語は現在のバージョンになるまで何度か大きな作り直しを実施している。記録に残る限りで、過去の言語についてまとめる。なお、これは架空世界内の歴史的記録ではなく、現実における制作の変遷である。

現イジェール語への影響まとめ

β2/β3言語(リジナ語)

  • 動詞の末尾が-eで終わる点
  • 人称代名詞(古形として)

γ言語

  • 動詞からの-(e)sk派生

ε言語(旧イジェール語)

  • 音素(ただし母音の強弱は後に脱落)
  • 音節構造
  • アンシェヌマンの義務化
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検索仕様

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  • 語源欄自動リンク:語源欄の単語に自動で検索リンクを生成します。これにより、複合語がどのように形成されているかを容易に確認できます。
  • 複合語検索:イジェール語は複合語形成時に連濁を起こします。これを考慮した上で、派生語もヒットするようにします。

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検索結果はイジェール語の辞書順であるHKS順で表示されます。

イジェール人の神話の登場人物たち

神は物事を生み出し、終わりを決める事ができる存在である。神の眷属はその能力を分割して持っていることになる。

  • Aranruti アランルーティ:終末と創生の神。終わりを宿命付ける神。終わりから始まりを生み出すことができ、サロネリハーリの破壊から世界を作り、自らの死によって世界の混沌を晴らした。
  • Tita’fei ティターフェイ:原初の女神。Raro ラーロとも呼ばれる。衝動と始まりを司る神であり、転じて愛情と生命を司る神ともされる。生命に寿命をもたらした呪いの主であり、現在は消息不明。
  • Nisiero ニスィエーロ:原初の女神。Akera アケーラとも呼ばれる。条理と継続を司る神であり、転じて理性と秩序を司る神ともされる。感情を感じさせない機械のような神として扱われることが多く、人格神として扱われることはほぼ無い。現在の世界が続いているのはひとえに彼女の業であるが、一方で何も解決せずに延々と時間が浪費されているのも彼女の業である。

3神は特別な存在であるため、まとめてTarzari タルザーリと呼ばれる。

場所

  • Saronerihari サロネリハーリ:原初の卵。これをアランルーティがスティヤハーゼで割って世界を作った。
  • Misava ミサーヴァ:呪いの涙で満ちた川。悪魔が触れるとたちまち生命を奪われ、人も涙の中では長くは生きられない。ミサーヴァの様子については2つの説があり、唯一生命を奪われないのは天使だけであり、彼女たちはミサーヴァを泳ぎ廻っているというものと、アランルーティの似姿である悪魔と、ニスィエーロの似姿である天使のどちらもミサーヴァでは生きられないという説がある。現在主流の説は後者であるが、天使が人魚の姿であることの根拠を考えると、本来は前者であっただろうと推定されている。
  • Harasive ハラスィーヴェ:死の大地。生命が尽きたものが辿り着く場所で、追放された悪魔の住処とされる。しかしながら、ミサーヴァを挟んだ対岸であり、誰も帰ってこないため、その姿は謎に包まれている。
  • Ininive イニニーヴェ:輝きの地。ヴィーベンやデルスを始めとした魔獣が境界を守っている。ニスィエーロの領地であり、命あるものたちが秩序だって暮らしている。
  • Niruerte ニルウェルテ:魂の世界。神話の世界のこと。上記すべての世界を指す名称。
  • Deauerte デアウェルテ:囚われの世界。現世のこと。魂が囚われて肉体に閉じ込められた監獄の世界。

道具

  • Stiahaze スティヤハーゼ:アランルーティの剣。ありとあらゆるものを斬ることが出来る両刃の剣。最終的にティターフェイに奪われ、アランルーティ自身が斬られる。その際に折れて柄と刃だけとなる。
  • Stia スティーヤ:スティヤハーゼが折れた後の剣先。ありとあらゆるものを斬ることができるが、柄がないために扱うことができない。神の返り血で赤く輝いているとされる。折れた後に大地に刺さり、その裂け目はミサーヴァとなった。
  • Stiabresk スティヤーブレスク:スティーヤがさらに砕けて破片となったもの。ミサーヴァの底のいたるところに刺さっている。
  • Haze ハーゼ:スティヤハーゼが折れた後の柄。これを持つものはスティーヤを扱うことが出来るため、神の力を扱う権力の象徴である。紆余曲折あったが、現在は神器として皇帝府が所持しているとされる。王権神授の象徴。

神の眷属(天使と悪魔)と魔獣

  • sarinoka サリノーカ:神の眷属のこと。天使と悪魔を合わせた存在のことを指すが、鬼や人や動物は含まない。
  • arsruna アルスルーナ:サリノーカのうち、クロームトン以前に生まれた者のことを指す。天使と悪魔に分離する前の天部であり、三神同様に善悪二面を併せ持った性格を持つ。後の天使と悪魔は善と悪の片方の性質しか持たないため、この点で格上の存在とされる。
  • akeranoka アケラノーカ:天使と呼ばれる神の眷属。不死の人魚で、無毛の天女。我欲を持たない祝福された存在である。創造者であり、始まりを齎す。ミサーヴァを泳ぐことが出来る唯一の存在とされることもあるが、ラルノーカと同様に水に触れれば死すべき存在とされることもある。
  • rarnoka ラルノーカ:悪魔と呼ばれる神の眷属。死を免れ得ない、羽毛に包まれた男魔。欲に塗れた呪われた存在である。破壊者であり、終焉を齎す。常にミサーヴァの上を飛び回っており、アケラノーカを襲おうとするが、ミサーヴァの水に触れると死んでしまう。それでも欲望に勝てず、死を早めてまでアケラノーカを襲う者は多い。
  • ena エーナ:魔獣と呼ばれる怪物のこと。神の眷属ではないがニルウェルテにのみ住むものたちのことである。人や動物よりも力強い。もともとの教義にはなく、民間信仰で広がっていた存在で、現在も公式に教義に取り込まれているわけではない。
  • niresk ニーレスク:魂を持った道具のこと。通常ニルは生物にしか宿らないため、このような道具は存在しない。(イジェール人にとっての)ファンタジーにおいてよく持ち出される俗な概念である。なお、スティヤハーゼは人格を持たないため、ニーレスクではない。
  • Sidora スィドーラ:ミサーヴァを泳ぐ巨大な魚の魔獣。ラーロ(ティターフェイ)の涙があまりに多く、世界が水浸しになるのを防ぐために流れを速める目的で創られた。時折頭で大地を削り、支流を増やす。
  • Neman ネーマン:悪魔に暴行されてティターフェイの呪いを身に受けた天使の成れの果てで、悪魔に分類される。強烈な渦を巻き起こし、周囲の物を引きずり込もうとする。
  • Ders デルス:大男で、各界の境目を守っている番人である魔獣。アランルーティが死んだ時に産まれた。対価を払えば門を通してくれるが、本末転倒な対価を要求する(他の世界を見たいという者には目を要求し、あの世を歌に残したいという者からは声を奪う)。この話には不明確な部分があり、そもそも門とはどこなのかは判然としない。川から陸に上がる経路は本来無数にあるはずであり、門など存在し得ないはずである。
  • Viben ヴィーベン:空飛ぶ魔獣。翼竜と訳されるものの、翼の生えた魚にワニの顔のようなものが想像される。空を自在に泳ぎ、ミサーヴァから陸に上がった生き物を捕食する役務を負っている。
  • Rima リーマ:美と誘惑の悪魔。色欲を終わらせる者。非常に美しい悪魔で、上半身は人間の女性で、翼の手と鳥の脚を持った半人半鳥の悪魔である。夜になると船の近くを飛び回り、美しい声で歌いながら男を魅了する。歌を聴く者は彼女の欲しい物を彼女に差し出したくなる。リーマは一番欲しい物を持ってきた男と生活を共にし、もっと良い品を持った男が現れると前の男を魚に変えて食べてしまう。彼女に誘惑されても、何も与えてはいけない。前の男が何を与えたかはわからないし、リーマの判断基準は人には判断できないからである。
  • Sazina サズィーナ :陸を這う龍。
  • Dorina ドリーナ :川を泳ぐ龍。
  • Eduna エドゥーナ :空を飛ぶ龍。
  • Aksa アークサ:勝利に近い者を勝たせる力を持った悪魔。闘争を終わらせる者。光輝く剣、キガーワグ(Kigaag) を持っていて、この剣に切れないものは無いという。彼の名を呼んだものに決闘を申し込み、戦うことを趣味としている。彼は超常の剣を持っているために、誰がどう見ても常に「勝利に近い者」であるため、負けることがない。しかしある日、カーディのエンゼーニという詐欺師に呼び出され、「お前の剣は偽物だ、私の剣こそが本物のキガーワグだ。」と決闘を申し込まれる。アークサは「それでは私の剣に切れず、貴様の剣に切れるものを見せてみろ。」と返す。詐欺師は「それは鞘だ、貴様の剣はその鞘を切ることはできまい。」と嘯いた。アークサは自らの鞘を叩き割ろうとするが、詐欺師の言うとおり出来なかった。アークサは驚き、剣を捨てて行方を晦ました。それ以降彼が人を襲うことはなくなったという。一説によるとキガーワグは「切断できると思った物を切断できる剣」であり、つまり詐欺師の言葉に耳を貸したのがアークサの間違いだった。

儀式や現象

  • zegzah ゼーグザフ:神々は本来現世とは異なる世界に住んでいるものだが、仮の姿を宿して現世に降臨する事があるとされる。この現象のことをゼーグザフという。皇帝は世界をクロームトン以前に戻す使命を負った現人神であるという考え方に基づき、国教会はゼーグザフを教義の一部として取り入れているが、アランルーティ以外のすべての神々に対してこの現象を認めているわけではない。しかし、一般の人々の間ではあらゆる神聖な存在に対してゼーグザフを認める傾向があり、そのように主張する聖者も居るが、異端である。現象自体もゼーグザフを起こすことができ、デアウェルテでの出来事はニルウェルテでの出来事と対応していると考える者が多い。現象のゼーグザフについては、国教会は積極的に否定はしていない。
  • srarifagis スラリファーギス:鎖紡ぎの儀式。生誕祭のこと。子供が生まれたときに行う儀式のこと。
  • eatamadur エアタマードゥル:涙戻しの儀式。葬式のこと。人が亡くなった際に催される儀式のこと。

魂と身体

概要

身体をどう扱うべきと考えるかは、文化の影響を大きく受ける。例えば、日本においてはタトゥーは忌避され、美容整形も忌避されがちなことから、身体を傷つける行為はたとえ本人が望んだことであっても避けるべきだとされている。しかし、この身体観は人類に普遍的なものではない。ここでは、イジェール人の身体観について述べる。

イジェール人の身体観について

イジェール人にとって、身体は魂と対になる概念である。人間性は魂から湧き出るものであり、肉体とは仮初の存在に過ぎないとされる。従って、身体に対しての侵襲には抵抗感がなく、外科的な処置が倫理的問題をはらむことは無い。美容整形や義肢への抵抗感も薄く、例えばレーシック等の人体加工技術についてイジェール人が悩むのは、単にコストパフォーマンスや術後の経過についてのみであって、倫理的側面ではない。同様にクローン人間についても、肉体の複製であり魂の複製ではないため、何ら問題がないとされる。

中絶手術について

宗教的な禁忌ではないが、倫理的問題はある。魂と身体を繋ぐスラリーファが接続されれば魂の器としての肉体が稼働し始め、生命が宿っていると言えるため、受精卵がどの段階でスラリーファに接続されると考えるかによって許容度に差が出てくる。そもそもスラリーファがヒトにのみ接続されていると考える宗派と無機物などを含めて全てのものに接続されていると考える宗派では解釈が異なり、イジェール人の間でも議論が絶えない話題であるが、スラリーファは脳が存在する生物にのみ宿ると考えるため、脳が形成される前の中絶であれば倫理的には問題がないと考える方が主流である。

脳死について

脳は魂そのものではなく魂の受信器官に過ぎないが、脳が機能停止すればスラリーファの接続は断たれる。従って、脳死をもって現世であるデアウェルテにおける死と捉えられる。