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魂と身体

  • 初版:2021年12月02日
  • 更新:2021年12月02日

概要

身体をどう扱うべきと考えるかは、文化の影響を大きく受ける。例えば、日本においてはタトゥーは忌避され、美容整形も忌避されがちなことから、身体を傷つける行為はたとえ本人が望んだことであっても避けるべきだとされている。しかし、この身体観は人類に普遍的なものではない。ここでは、イジェール人の身体観について述べる。

イジェール人の身体観について

イジェール人にとって、身体は魂と対になる概念である。人間性は魂から湧き出るものであり、肉体とは仮初の存在に過ぎないとされる。従って、身体に対しての侵襲には抵抗感がなく、外科的な処置が倫理的問題をはらむことは無い。美容整形や義肢への抵抗感も薄く、例えばレーシック等の人体加工技術についてイジェール人が悩むのは、単にコストパフォーマンスや術後の経過についてのみであって、倫理的側面ではない。同様にクローン人間についても、肉体の複製であり魂の複製ではないため、何ら問題がないとされる。

中絶手術について

宗教的な禁忌ではないが、倫理的問題はある。魂と身体を繋ぐスラリーファが接続されれば魂の器としての肉体が稼働し始め、生命が宿っていると言えるため、受精卵がどの段階でスラリーファに接続されると考えるかによって許容度に差が出てくる。そもそもスラリーファがヒトにのみ接続されていると考える宗派と無機物などを含めて全てのものに接続されていると考える宗派では解釈が異なり、イジェール人の間でも議論が絶えない話題であるが、スラリーファは脳が存在する生物にのみ宿ると考えるため、脳が形成される前の中絶であれば倫理的には問題がないと考える方が主流である。

脳死について

脳は魂そのものではなく魂の受信器官に過ぎないが、脳が機能停止すればスラリーファの接続は断たれる。従って、脳死をもって現世であるデアウェルテにおける死と捉えられる。