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帝国における三権分立

  • 初版:2021年05月16日
  • 更新:2021年11月24日

帝国は国号に「帝国」を冠しているものの、その実態は立憲君主制の国家である。憲法は国民の主権を規定し、国民によって民主的に皇帝を選択することになっている。皇帝には行政権が委託され、立法権と司法権はそれぞれ議会と裁判所に委託されている。この点で、皇帝は実質的には任期の長い大統領程度の実権を持っているに過ぎない。

国土は複数の星をまとめた「王国」がアメリカにおける州よりは劣るが、日本の県よりは高い程度の独立性を持つ。憲法によって帝国政府に委託された権利以外の権利はすべて王国に付与されており、王国は大きな行政権を持つ。とはいえ、帝国政府は王国に対して補助金の増減などを用いて帝国としての政策をある程度強要することは可能である。

行政府

一般に言われる「帝国政府」は1府11省によって成り立っている。その権限は憲法によって規制された範囲内のみである。これらの省の大臣と、皇太子を合わせた14人が帝国の内閣を構成する。

  1. 皇帝府(国事行為の監督、皇室管理、防諜活動、戸籍管理)
  2. 内務省(帝国直轄領の管理、天然資源管理、出入国管理、帝国警察の組織)
  3. 外務省(帝国としての外交方針の策定、実行)
  4. 国防省(帝国軍の編成、戦争計画の策定、軍需産業の牽引)
  5. 国土計画・運輸・建設省(測量、帝国としてのインフラ整備計画の策定、王国政府の国土計画の承認、否認)
  6. 労務省(労働問題にかかる調査、是正)
  7. 農務省(農業計画の策定、食の安全性にかかる諸問題の監督)
  8. 経済・産業省(産業計画の策定、経済統計の作成を含む国内産業統括)
  9. 財務省(帝国の財務管理、王国政府の財務の監督、徴税)
  10. 科学・技術省(科学技術の計画策定、研究費の分配、特許の監督)
  11. 教育省(学校制度の監督)
  12. エネルギー省(発電に関わる国営施設の監督、エネルギー計画の策定)

これらの省の大臣に就任するには、皇帝の指名と帝国議会の2/3以上の承認が必要である。帝国においては「皇太子」はその時点で皇位継承権1位の人物に与えられる名誉称号で、皇帝の親族である必要はない。皇太子に任命されるには、皇帝府の推薦と帝国議会の2/3以上の承認が必要となる。

司法府

司法府は、帝国法による解釈を要する訴訟、法律の違憲性審査、2王国以上の帝国民が関わる訴訟、外国人が関わる訴訟を扱う。具体的には1箇所の帝国最高裁判所と多数の帝国下級裁判所で構成される。法曹一元制度であり、ロー・スクールを出たものであれば裁判官と検察官、弁護士のキャリアは分かれていない。また、陪審員制ではないため、アメリカとも日本とも違う体系になっている。具体的に帝国憲法によって委託された分野以外の法律は、帝国最高裁判所により無効が宣告されるため、司法権は帝国が強い権利を持っていると言える。王国法が制定できるのは、私法全てと、公法のうち道路交通法や建築法、税に関わる法律のうち王国に権利が委託されている部分のみである。このため、刑法や商取引に関わる法律は帝国全体で同一である。

法体系

帝国における法律は大陸法系であり、成文法を第一の法源として、その隙間を埋めるものとして判例の効力が認められている。判例の中でも、帝国最高裁判所の判例は下級裁判所の判例よりも強い効力を持つ。帝国法は私法と公法に分かれており、私法は私人間の紛争を解決するための法であり、公法は国家と国民の関係を規定する法である。帝国法においては刑法や訴訟法は公法に含まれるのが通例である。

立法府

帝国の立法権は1院制の帝国議会が持っている。帝国議会は定数が400人で、半数を3年ごとに選出する。選出方法は比例代表制と小選挙区制を交互に用いる。比例代表制は「白色選挙」、小選挙区制は「黒色選挙」と呼び分けられており、この2つの選挙によって政治的安定性と少数派意見の取り込みのバランスを図っている。

各権力の相互関係

帝国議会は法律を制定する権利があるが、皇帝は法律に対して拒否権を発動する権利があり、裁判所は違憲審査によって無効を宣言する権利がある。
皇帝を頂点とする行政府は実際の行政に関わるすべての権利を持つが、帝国議会は皇帝や皇帝の人事に対する不信任決議と罷免権がある。
裁判所は前述のとおり違憲審査権を持つが、帝国最高裁判所の人事権は皇帝に、下級裁判所の人事権は帝国議会が持つ。